愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
残暑もまだまだ厳しい九月下旬。
エントランスを出ると、日中太陽に照りつけられたコンクリートが熱気を帯びて、蒸した空気がじめっとまとわりつく。帰りの電車の中でもエアコンなんてあってないようなものだ。
第一秘書課のお姉さまたちを見ていると、つくづく自分と住む世界の違いを思い知る。水菜さんは、実はレティアと並ぶくらいの大手企業の社長令嬢で、父と同じ会社は嫌、という理由だけでレティアに勤めている。他の先輩秘書たちも品が良く、帰国子女や様々なスペックを持っている。そんな私も、秘書課のお姉さま方と同じようなハイソな生活を送っていた。
そう、私もいわゆるお嬢様だった。五年前までは――。
荻窪にある1K、二階建て家賃三万のおんぼろ木造アパートは、雨が降るとたまに雨漏りする。そんなアパートの前に着くと、私は深くため息づいた。
水菜さんに合コンに誘われた時、英会話に行くいうのは真っ赤な嘘だ。六本木で合コンなんて、いったいいくらお金がかかる?私に、そんな遊ぶようなお金はない。けれど、お金がないので行けませんとも言えず、ついそんな嘘をついてしまった。
「ただいまー」
私の住む部屋は二階の角部屋、ユニットバスで壁も薄くて隣のいちゃいちゃカップルの声がたまに聞こえてくる。私以外の住人はみんな学生だ。ある程度給料をもらっている社会人なら、あえてこんなぼろアパートに住むわけない。
商社に勤務し、私もそこそこ給料をもらっているけれど、こんなぼろアパートに住んでいるのには理由があった。
エントランスを出ると、日中太陽に照りつけられたコンクリートが熱気を帯びて、蒸した空気がじめっとまとわりつく。帰りの電車の中でもエアコンなんてあってないようなものだ。
第一秘書課のお姉さまたちを見ていると、つくづく自分と住む世界の違いを思い知る。水菜さんは、実はレティアと並ぶくらいの大手企業の社長令嬢で、父と同じ会社は嫌、という理由だけでレティアに勤めている。他の先輩秘書たちも品が良く、帰国子女や様々なスペックを持っている。そんな私も、秘書課のお姉さま方と同じようなハイソな生活を送っていた。
そう、私もいわゆるお嬢様だった。五年前までは――。
荻窪にある1K、二階建て家賃三万のおんぼろ木造アパートは、雨が降るとたまに雨漏りする。そんなアパートの前に着くと、私は深くため息づいた。
水菜さんに合コンに誘われた時、英会話に行くいうのは真っ赤な嘘だ。六本木で合コンなんて、いったいいくらお金がかかる?私に、そんな遊ぶようなお金はない。けれど、お金がないので行けませんとも言えず、ついそんな嘘をついてしまった。
「ただいまー」
私の住む部屋は二階の角部屋、ユニットバスで壁も薄くて隣のいちゃいちゃカップルの声がたまに聞こえてくる。私以外の住人はみんな学生だ。ある程度給料をもらっている社会人なら、あえてこんなぼろアパートに住むわけない。
商社に勤務し、私もそこそこ給料をもらっているけれど、こんなぼろアパートに住んでいるのには理由があった。