小さな恋物語
「あ、そうなの!?かなり近いなぁ〜」

「そうですね〜。ホントに驚いちゃいました」

この時間が永遠に続けばいい。このバスが神隠しにあって、何度も同じ道を走り続ければ、どんなに嬉しいだろう。見かけは上は冷静な生徒を貫きながら、心の中ではこんなことを考えている私を、彼はどう思うだろう。きっと嫌悪するに違いない。顔には微笑みをたたえながら、体内を嫌悪感で満たしていくだろう。なぜなら、彼は男に依存するような女が嫌いだから。これは私の直感だけれど、恐らく間違いない。初めて見たとき、彼の瞳からそんな感情を見てとったのだ。
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