小さな恋物語
「いえ、結構ですっ。歩いて帰りますから!」

絶対に前田の世話にはなりたくない。

「……もう7時だぞ。最近、この界隈で痴漢が出たって報告もあるし」

「誰も私なんか襲いませんから!心配御無用です」

クッキーを平気で捨てるくせに、いきなり善人面するな!

「それはどうかな。世の中にはB専とかいう人種もいるわけだし……」

「要するに、私がブスだと言いたいんですよね!?失礼ぶっこきですよっ?」

ハンパなく無礼な男だ。

乙女に面と向かってブス発言するな!!

「例えばの話だ。中下マリエ、君はそんなに不細工な女性ではない。……中の上くらいだ」

中の……

って、中途半端ー!!

「それはどうも。てか、こんな話をしてるうちに、夜が更けていくんで、さようならっ」

パシッ

「待て。車で送ると言ってるだろう」

うっわ〜……。

腕つかまれて、真剣な表情でこんなこと言われたらドキドキしてきたし。

やっぱり近くでまじまじ見ると、カッコイイ顔してるよなぁ。
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