小さな恋物語
……はっ!

相手は性格が曲がりまくってる新米教師。

ドキドキしていい相手じゃないよ。

「……で、ですからぁ、送ってもらわなくても帰れますって」

「確かに俺が送らなくても、お前は帰れるだろう。しかし、この暗さや時間帯から考えれば、教師としては送るのが最善策だ」

うわぁ……数学の教師だけあって、言うことがいちいち理屈っぽいよ。

論の展開が完璧すぎて、反論しようがないわ。

もう降参っ!

「分かりましたよ。じゃあ送って下さい」

「車とってくるから、ここで待っとけ」

「はいはい」

想定外の展開。

正直、車で帰れるのはラッキーなんだけど、運転手が前田っていうのがなぁ。

と思っていると、車のライトが近づいてきた。

もちろん、その車を運転してるのは前田。

「後ろは荷物があるから、助手席に乗れ」

「あぁ、はい」

言われた通り助手席に座る。
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