小さな恋物語
“努力は必ず報われるから、周りなんか気にせず、自分のやりたいようにしたらいいよ”

3年前、周りからはこの高校に入るのは無理だって言われてた私に、この言葉で勇気を与えてくれた20歳の男に、私も恋をしたんだよ。

「ネックレス持ってるのか?」

「もちろん」

チャリッ

対向車のライトでシルバーが光る。

「かして」

「はい……」

先生は指輪を外し、私の左手をつかんだ。

「ねぇ、先生」

「ん?」

薬指に指輪をはめようとする動きを止める。

「明日クッキー焼いたの持っていったら、食べてくれる?」

「あぁ」

返事と同時に、私の薬指にシルバーリングがはめられた。

その輝きがこれから先、失われることはないだろう。
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