真面目社長が恋に落ちたら

プロローグ

「お疲れ様です。お先に失礼します。」

そう庶務課の社員さん達に挨拶をしてロッカールームに急ぐ。

入ってすぐアルバイト用のエプロンを脱げば着替えは完了。
すぐさま鞄を２つ持って早足でオフィスビルを飛び出す。


こんな生活をかれこれ続けて3年目。

秋野洋子 21歳
夜間部の家政学部被服学科の３年生だ。

平日昼間はここ株式会社細井製菓の庶務課で雑用係的なアルバイトをしている。

通常事務方社員は９時～５時までの典型的なＯＬさんの勤める企業的な感じだが、私はアルバイト。
通常の就業時間より１時間早く退勤している。

夜間部の大学に通学する為にである。

生活をする為にはこれが当たり前で。


だから私はそれに不満もなく、至って普通に日常として過ごしていた。


そんな毎回バタバタと退勤して駅に向かって走っている私を見ている人がいた事には気づいてなかった。