真面目社長が恋に落ちたら
コンコン

「社長、秋野さんをお連れしました。」

「あぁ、通せ。」

耳に心地よいテノールの声。


その声を聞いて小泉さんが扉を開ける。

扉の先には重厚なダークブラウンの木製執務机にクッション良さげな革張りチェア。
そこから少し入口寄りに応接用のローテーブルとソファーのセットが置かれていた。
壁の片方はビッシリ本棚。
反対の壁は一部分クローゼットになり残りはやはり本棚。
足元にはふっかふかの絨毯。

会社のトップのお部屋ってやっぱりそれなりに豪華かつ重厚感溢れる作りなのかな。

思わずキョロキョロ見回してしまう。

そこで視線を感じてハッとした。

キョロキョロしてるのすっごく社長に見られてた・・・

恥ずかしいぃぃ。

落ち着きのない子だと思われたに違いない。


しかし、初めてお目にかかる社長は、爽やかかつ穏やかな雰囲気の優しそうなイケメンである。


天は二物を与えずってウソだーってタイプの人だ、これ。

文武両道で学生時代はさぞやモテていただろうし、今だって周りの女性が放っておかないだろう。

見た目がイケメンで社会的地位は一企業の社長である。


肉食女子なら群がるだろう。


そんな相手が目の前にいる。


あー、穴があったら入りたい。

こんな大人なイケメンで社長の前で何をやってるのか私。


今なら恥ずかしさで死ねる気がする・・・・・・

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