眠り姫の憂鬱
「俺達は待ち合わせていたカフェで出会ったんだよ。
美月は金曜の仕事の後にカフェのカウンターで、食事をしながら本を読んでて、
時折、マスターや、奥さんと楽しそうに笑ってた。
俺が何の本を読んでるの?って聞いたら、恥ずかしいそうに、推理小説を読んでるって言って、
俺も推理小説を読むのが趣味だって話してさ、それから、カフェで会うようになった。
俺は推理小説を読むことがあるってくらいだったけど、
声をかけた時にはすっかり美月が好きになってたからね…
それから慌ててたくさん推理小説を読むようになったな。
…俺は美月が道路に倒れているのを見た時、
美月をこのまま失ったら、生きていけないって、そう思った。
だから、美月がどんな状態でも、生きられるとわかった時に、
すぐに親に反対されても結婚すると話したんだ。
まあ、反対がなかったとは言わないけど、最終的には認められたよ。
俺は優秀な跡取りだからね。
妻にする女性くらいは自分で選べる。」と私に笑いかけた。


そうだったんだ。

ショウゴさんが私と結婚するって思ったのは
私の事故の後って事…

前から婚約者だったわけじゃない…


私はショウゴさんにふさわしくないのかもしれない。

誰のことも覚えていない…もちろんショウゴさんの事も…

ご両親が反対するのももっともな事…


…そんな気がしてた。

このまま一緒にいてもらっていいのだろうか?



…愛されてはいるみたいだけど…




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