眠り姫の憂鬱
とりあえず、今日の要件が先。

「あの…仕事ってさせてもらえないかって思って
…以前の記憶がなくても、できる事はあるかなって…アルバイトでもしてみたいなって」

「そろそろ退屈するかなって思ってた。」とくすんと笑う。

「美月は受付にいたけど、今は大切なお客様の顔はわからないでしょう。
…俺の目の届かないところで、何かあっても困るし…
俺の秘書のアシスタントをしてよ。
郵便や書類の整理や、メールの整理。必要な資料集めたり、たまにお客が来たらお茶も入れて。
どれも初めての仕事だから、どれも同じだろ。これから学べばいい。
上手くできれば秘書として働けばいい。
俺も昼間も美月に会えてお得。必要な時にフォロー出来る。どう?」と私の顔を覗く。

「…やりたいです!ありがとうございます。」と嬉しくて抱きつくと、

「元気になってきたね。美月が笑ってくれると俺も嬉しい。
キスして美月。」
と笑ってくれたのが嬉しくて、そっと唇に唇を付けると、

「やっと、キスしてもらえた。」とホッとした顔をして私の頬を指で撫でた。
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