眠り姫の憂鬱
カフェに着いて、開店したばかりのドアを開ける。
「こんにちは。昨日はご迷惑をかけました。」と言うと、カフェのマスターと奥さんは笑ってくれる。

「いらっしゃい、美月ちゃん。カフェオレでいい？」と聞いてくれる。

きっと私はいつもカフェオレだっただろう。
それが好きなのは覚えている。

ショウゴさんの家でも好んで飲むし…

そういえば…何も言わなくてもカフェオレが出てきた気がする。
ショウゴさんはブラックだから…
やっぱりショウゴさんは以前の私を知っているのかもしれない。
と思っていると、

「こんにちは、美月先輩。副社長にここに呼ばれて来ました。昨日は本当にごめんなさい。」と頭を下げている。

「こちらこそ、ごめんなさい。
きっとすずちゃんに事情を聞いた時、ショウゴさんは怖い顔をしてたでしょう？」と聞くと、

「遠藤さんが聞いてくれたので大丈夫です。
ただ、副社長は怖い顔で車の中で待っていたらしいですけど…」と少し微笑む。

「…昨日は驚いて家出をしましたけど、
今の私はショウゴさんを愛しているの。
ここで会っていた人じゃないみたい」と笑うと、

「私は美月さんがわかっていて決めたなら、それでいいんです。」とすずちゃんも微笑む。



私はマスターに向き直り、

「私と会っていた『イケタニ ショウ』さんはここにきていますか？」と聞くと、

「来てないから、美月ちゃんといるのかなって…思ってたけど…」とマスターが言っている。


その時、ドアが開いて、
あ、とみんなの顔が驚く。

茶髪、黒縁メガネ、黒いリュック。

『イケタニ ショウ』が現れたみたいだ。



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