【短】愛の病
「んー?何も言ってくんないと、分かんないよ?」
フェンスをギリッと握り締めた指の上に、そっと包み込むようにしてあやちゃんの手が触れて。
振り向こうとしたら、ギュって抱き締められたから出来なかった。
「今日は、朝からなんか変だったもんね?ほんと、どうかしたの?」
後ろから抱き締めたままあたしの顔を覗き込むあやちゃんは、悔しいくらいに格好よくて。
…ちょっとだけ、泣きそうになってくる。
でも、覗き込んだせいであやちゃんの顔が、凄く近くまで来てたから。
「ん…………」
なんの躊躇いもなしに、瞳を閉じてキスをした。