【短】愛の病


「んー?何も言ってくんないと、分かんないよ?」


フェンスをギリッと握り締めた指の上に、そっと包み込むようにしてあやちゃんの手が触れて。

振り向こうとしたら、ギュって抱き締められたから出来なかった。


「今日は、朝からなんか変だったもんね?ほんと、どうかしたの?」


後ろから抱き締めたままあたしの顔を覗き込むあやちゃんは、悔しいくらいに格好よくて。

…ちょっとだけ、泣きそうになってくる。


でも、覗き込んだせいであやちゃんの顔が、凄く近くまで来てたから。


「ん…………」


なんの躊躇いもなしに、瞳を閉じてキスをした。
< 10 / 15 >

この作品をシェア

pagetop