君と見上げた空はもう一度
突然携帯が鳴る。
画面は今一番会いたくて、一番会いたくない人の名前が映る。
「あっ、綾。もうすぐ待ち合わせにしようと思うけどどこがいい?、、、綾?」
私は涙が止まらずしゃべれない。
「陸。」
「綾どうしたの?泣いてるのか?」
「陸、私もっと陸のそばにいたい。一緒に年をとって生きていきたい。何年も、何十年も。でもそれはできない」
押さえきれない気持ちがこみ上げてくる。
「綾、約束するよ。一度離ればなれになったとしてもさ。何度だって綾を見つけるさ。そしたら何年も何十年も綾の隣にいるよ。そのときにまた聞くよ。
今日の空は何色に見える?って。」
陸の言葉が暖かく感じる。
「ありがとう、陸。」
それから私が泣き止むまで陸は待ってくれていた。
「陸、いつもの湖でいいかな?」
「うん、わかった。今から行くよ。」
私もと告げて電話を切った。

陸と行ける最後のお祭り。
いや、陸と一緒にいられる最後の時間。
ならせめて思い出さなくても忘れないくらい楽しもうと思う。
< 44 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop