君と見上げた空はもう一度
神社は多くの人でにぎわっていた。
小さい子を連れた家族や友達と楽しそうにきている人。
一緒にいる人は違えど、みんなの表情は一つだった。
それから私と陸はゆっくりと夜店を見て回った。
「綾、りんご飴食べない?」
「いいね。食べたい。」
よし、俺のおごりな。」
楽しそうにはしゃいでる陸をみると幸せな気持ちになる反面胸が苦しくなる。」
「夜店にくると必ずなにか買っちゃうんだよな。」
「それすごいわかるかも。」
すると大きな音とともに花火があがった。
人々が空を見上げる中、私はりんご飴を舐める陸の横顔をみていた。
「切ないな。」
ふいに陸が言う。
「どうして?花火が?」
「輝くのは一瞬でさ。後はただただ散っていくだけ。まぁだから綺麗なんだけどな。」
「陸のそういう考え、私は大好き。」
「そうか、ありがとな。」
そう言い二人は花火を見上げていた。
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