君と見上げた空はもう一度
私の体に激痛がはしった。
「綾、綾、大丈夫か?」
「うん、少し痛かっただけだよ。」
嘘だ。本当はとても苦しい。
少しだけ。
あと少しだけ陸のそばにいたい。
そう強く願う。
その願いが届いたのか少し楽になる。
「綾、大丈夫か?家に帰るか?」
「それは嫌だよ。最後まで側にいるって言ったのは陸だよ?」
陸は下を向き、それから私の方をみて言った。
「そうだよな。最後まで側にいるさ。必ず。」
最後の花火があがった。
ゆっくりと見上げたころにはもう花火は崩れていた。
「綾、湖に行かないか?俺たちが出会った。」
「うん、行きたい。
おそらく陸はもうわかっている。
それでも笑顔でいるのは私のためだろう。
いつしか私たちは手をつないでいた。
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