君と見上げた空はもう一度
春太と別れた後俺は彼女のところへ向かう。
「梨花、お待たせ。」
「大丈夫、早く行こ。楽しみだな。」
そう言い笑う梨花の笑顔はどこかぎこちない。
その理由は多分わかると思う。
いらっしゃいませ、店員の声を聞き流し、席に着いた。
注文を取りにきた店員がいなくなると
「梨花、さっきの春太の話、聞いてた?」
少しだけ間があって梨花は答えた。
「聞いてたよ。でも少しだけ。」
嘘だ。その後の梨花の寂しげな笑顔が俺の胸を苦しめる。
「ケーキ、美味しそうだね。食べよ?」
俺は戸惑いながらも答える。
「そうだな、食べよっか。」
それからもあまり会話が続かず、会計を済ませ外に出た。
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