今から一つ嘘をつくけど
そう思っていると、ずいと目の前に紙袋を差し出される。
あ……これ、限定マドレーヌのお店の紙袋……
「さっき下で諏訪くんに会ってね、これを晃ちゃんにって」
「諏訪さん、なんと女の子だらけのスイーツフロアで、並んで買ってたんですよ!」
特ダネスクープを話すように、海莉ちゃんは興奮していた。紙袋を受け取って中を見ると、たくさんのマドレーヌ。
「諏訪さんが……?」
「そう、神楽木に渡してくれって言ってたわ。ああ、諏訪くんは他の所で仕事だって。どうやらそのマドレーヌを買いにだけ来たみたい」
今朝あんな事があったから。わざわざこれを買いにだけまた来て、しかも女の子がひしめく行列に並んで。
とくん……と心臓が音をたてた気がした。
倉庫で寝てるのを見た時から思っていたけど、変な人。凄く変な人だ。
武田店長と海莉ちゃんに、何があったのかしつこく聞かれたけど、私は絶対に答えなかった。マドレーヌはみんなで美味しく食べた。
今度は私も食いっぱぐれる事は無かった。
◇
あ……これ、限定マドレーヌのお店の紙袋……
「さっき下で諏訪くんに会ってね、これを晃ちゃんにって」
「諏訪さん、なんと女の子だらけのスイーツフロアで、並んで買ってたんですよ!」
特ダネスクープを話すように、海莉ちゃんは興奮していた。紙袋を受け取って中を見ると、たくさんのマドレーヌ。
「諏訪さんが……?」
「そう、神楽木に渡してくれって言ってたわ。ああ、諏訪くんは他の所で仕事だって。どうやらそのマドレーヌを買いにだけ来たみたい」
今朝あんな事があったから。わざわざこれを買いにだけまた来て、しかも女の子がひしめく行列に並んで。
とくん……と心臓が音をたてた気がした。
倉庫で寝てるのを見た時から思っていたけど、変な人。凄く変な人だ。
武田店長と海莉ちゃんに、何があったのかしつこく聞かれたけど、私は絶対に答えなかった。マドレーヌはみんなで美味しく食べた。
今度は私も食いっぱぐれる事は無かった。
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