今から一つ嘘をつくけど
 先に飲み物が来て、三人で乾杯。

 すぐに来たサラダを食べながら、他愛の無い話をしていると、他の料理も次々に運ばれてくる。どれも美味しかった。

 だけど気分は晴れない……


 お腹がある程度満たされると、姉と晴夏さんが互いに目くばせし合っている事に気が付いた。

 何だろうと思っていると、姉が私に恥ずかしそうに微笑みながら話し始めた。


「あのね、晃。実は……報告があるの」

「何……?」

「私、赤ちゃんが出来たの」

「――――え?!」


 姉はそう言うと、愛おしそうに両手を自分のお腹に当てる。


「もちろん、はるくんとの……ね。それでね、二人で話し合って、結婚する事になったの」


 私は思わず、手にしていたフォークを落としそうになってしまった。姉の突然の報告の後、晴夏さんが言葉を続ける。


「もちろん、子供が出来たから結婚するんじゃないんだ、いい切っ掛けにはなったけど。実はずっと前からプロポーズはしていてね。でも、優樹はなかなか答えてくれなかったんだよ」

「はるくんとの結婚は、晃がちゃんと独り立ち出来るようになってから、って思ってたんだけど……でも、赤ちゃんも出来たし、晃も就職してもう立派にやってるから。だから、決めたの」


 姉は少し俯きながら、でも頬をほんのり赤くして、幸せそうに笑みを浮かべていた。


「晃には、一番最初に報告しようと思って。だから今日、はるくんにも来てもらったの。どう? 驚いた?」


 姉はサプライズに成功したかのように、無邪気に笑う。

 私は…………




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