今から一つ嘘をつくけど
海莉ちゃんが心配そうにこちらを見ていたが、仕方ない。私は営業用の笑顔を顔に張り付けた。
鎌谷さんは聞いてもいない事をべらべらと一人で話し始めた。主に自分の自慢とか仕事の武勇伝。時々こちらに気を使っているような話しを振ってきたが、その返事にはそれ程興味が無いのが透けて見えてる。だから私も、必要最低限の事と相槌しか話さなかった。
こういう人って苦手だ。
他の人たちはそれぞれ盛り上がっているみたいだから、私はなかなか鎌谷さんから逃れられない。たまに海莉ちゃんが気を使ってくれたが、すぐ鎌谷さんが横槍を入れてきて阻まれてしまう。
こうなってしまっては、もうどうにもならない。
鎌谷さんのつまらない話に適当な相槌を打ちながら、私はサラダに入っている苦手なパクチーを排除する事に専念する事にした。
その時――――
「――――どうも、遅れてごめん!」
個室のドアを開けて入って来たのは、諏訪さんだった。場がワッと盛り上がる。
私は酷く驚いてしまった。お箸で摘まんでいたパクチーを、うっかり口に入れてしまった程に。
「驚きました? 今日のスペシャルゲストですよ」
隣の海莉ちゃんが悪戯そうに笑いながらそう言った。
……どうしてこんな所で、こんな場でこの人に会っちゃうんだろう。
いつも諏訪さんとは、会うタイミングが悪い。
諏訪さんは本社仲間の工藤さんたちとハイタッチして陽気に盛り上がると、こちらを見て視線を止めた。
当たり前だけど、すぐに目が合った。
こんな状態では、逃げも隠れも出来ない。
鎌谷さんは聞いてもいない事をべらべらと一人で話し始めた。主に自分の自慢とか仕事の武勇伝。時々こちらに気を使っているような話しを振ってきたが、その返事にはそれ程興味が無いのが透けて見えてる。だから私も、必要最低限の事と相槌しか話さなかった。
こういう人って苦手だ。
他の人たちはそれぞれ盛り上がっているみたいだから、私はなかなか鎌谷さんから逃れられない。たまに海莉ちゃんが気を使ってくれたが、すぐ鎌谷さんが横槍を入れてきて阻まれてしまう。
こうなってしまっては、もうどうにもならない。
鎌谷さんのつまらない話に適当な相槌を打ちながら、私はサラダに入っている苦手なパクチーを排除する事に専念する事にした。
その時――――
「――――どうも、遅れてごめん!」
個室のドアを開けて入って来たのは、諏訪さんだった。場がワッと盛り上がる。
私は酷く驚いてしまった。お箸で摘まんでいたパクチーを、うっかり口に入れてしまった程に。
「驚きました? 今日のスペシャルゲストですよ」
隣の海莉ちゃんが悪戯そうに笑いながらそう言った。
……どうしてこんな所で、こんな場でこの人に会っちゃうんだろう。
いつも諏訪さんとは、会うタイミングが悪い。
諏訪さんは本社仲間の工藤さんたちとハイタッチして陽気に盛り上がると、こちらを見て視線を止めた。
当たり前だけど、すぐに目が合った。
こんな状態では、逃げも隠れも出来ない。