今から一つ嘘をつくけど
遠野先生は息子の晴夏さんとの二人暮らし。家は三階建てで、一階が法律事務所になっていて。遠野先生と晴夏さんはそこで働いている。
だから一緒に暮らせば、姉が一人になるような事は殆ど無いから。
『晃、遠野先生の家にもう随分来てないでしょ? 久しぶりにおいでよ。先生も喜ぶし、私がお昼作るから』
姉が作る料理なんて、就職して離れて暮らすようになってから食べてない。結構料理上手で、亡くなった母の味にもよく似ている。だからそんな誘いを断れるはずは無い。
それに晴夏さんの名前を聞いても、もう今までみたいな暗い気持にもならなかった。
晴夏さんへの恋は、私の中で完全に終わったのだ。
お昼前には着くようにすると約束すると、私は姉との電話を切った。
◇
だから一緒に暮らせば、姉が一人になるような事は殆ど無いから。
『晃、遠野先生の家にもう随分来てないでしょ? 久しぶりにおいでよ。先生も喜ぶし、私がお昼作るから』
姉が作る料理なんて、就職して離れて暮らすようになってから食べてない。結構料理上手で、亡くなった母の味にもよく似ている。だからそんな誘いを断れるはずは無い。
それに晴夏さんの名前を聞いても、もう今までみたいな暗い気持にもならなかった。
晴夏さんへの恋は、私の中で完全に終わったのだ。
お昼前には着くようにすると約束すると、私は姉との電話を切った。
◇