今から一つ嘘をつくけど
あの日は、結局諏訪さんに家まで送ってもらった。諏訪さんは着くまでずっと私の手を握っていて。片手で凄く運転し難そうだったけど、それでも離してはくれなかった。
お陰で家に着いて一人になってもずっと、その手の感触が離れない。彼の手の熱さも……
その熱が、私の身体も熱くする。
家に着いたのはまだ早い夕方前。もう一度何処かへ出掛けようかとも思ったけど、行先が思いつかなくて。でも一人で部屋にいると、諏訪さんの事ばかり考えてしまう。
本を読んでもテレビを見ても、全然内容が頭に入ってこないし、気が付くと諏訪さんの顔が目の前にチラついて。
とうとう何も出来ずに、夕飯を早々に済ませると寝てしまおうとベッドへ入る。それでもやはり、考えてしまうのは諏訪さんの事……
灯りを消した部屋の中、眠れなくて何度も寝返りを打つ。目を閉じると、瞼の裏に勝手に諏訪さんの顔が浮かんでくる。そしてまた目を開けてしまう。
そんな事を何回か繰り返し、私はとうとう眠る事を諦めて起き上がってしまった。そして灯りも点けずにキッチンへ行き、コップに水を注いだ。それをがぶがぶと飲み干す。冷たい水が喉を通ってゆくのを感じた。
だけど諏訪さんの手から移った身体の熱は冷めなかった。
流しに空になったコップを置き、もう一度寝る事を試してみようとベッドへ戻りかけたが、足はそのまま窓へ。少しカーテンを開けると、雲一つ無い夜空に満月が煌々と輝いている。
お陰で家に着いて一人になってもずっと、その手の感触が離れない。彼の手の熱さも……
その熱が、私の身体も熱くする。
家に着いたのはまだ早い夕方前。もう一度何処かへ出掛けようかとも思ったけど、行先が思いつかなくて。でも一人で部屋にいると、諏訪さんの事ばかり考えてしまう。
本を読んでもテレビを見ても、全然内容が頭に入ってこないし、気が付くと諏訪さんの顔が目の前にチラついて。
とうとう何も出来ずに、夕飯を早々に済ませると寝てしまおうとベッドへ入る。それでもやはり、考えてしまうのは諏訪さんの事……
灯りを消した部屋の中、眠れなくて何度も寝返りを打つ。目を閉じると、瞼の裏に勝手に諏訪さんの顔が浮かんでくる。そしてまた目を開けてしまう。
そんな事を何回か繰り返し、私はとうとう眠る事を諦めて起き上がってしまった。そして灯りも点けずにキッチンへ行き、コップに水を注いだ。それをがぶがぶと飲み干す。冷たい水が喉を通ってゆくのを感じた。
だけど諏訪さんの手から移った身体の熱は冷めなかった。
流しに空になったコップを置き、もう一度寝る事を試してみようとベッドへ戻りかけたが、足はそのまま窓へ。少しカーテンを開けると、雲一つ無い夜空に満月が煌々と輝いている。