天使の傷跡
「____な、なっ…?! 一体、何を、言って…!」
「何って、どう考えてもプロポーズだろう?」
サラッととんでもないことを言い出したこの人は正気なのか?!
まさか、二日酔いが酷いとか?
「い、意味がわかりませんからっ! いくら課長でも言っていい冗談と悪い冗談が___!」
「冗談なんかじゃない。俺は本気だ」
「 !! 」
はっきりとそう言い切った課長の目は…少しも笑っていない。
それどころか真剣過ぎるその眼差しに、ゴクッと固唾を呑んだ。
「…水谷。俺は一人の女としてお前のことが好きだ。結婚するならお前しかいないと思ってる。…俺と、結婚してくれないか」
「………」
な…に…?
一体何が、起こってるの…?
いつもと何一つ変わらない日常を過ごしていた私にある日突然降って湧いたとんでもない出来事に、私の頭の中は見事なほど真っ白に染まっていった。