天使の傷跡
近づく、近づく。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう。今日も早いな」
「そういう課長こそもっと早いですよね」
ここにあるのは、いつもの風景、いつもの会話。
「…これ、どうぞ」
「おぉ、いつもいつも悪いな。じゃあ有難くいただくよ」
手渡されたおにぎりを嬉しそうに受け取り、そのまま勢いよくかじり付いてうまいうまいと大絶賛する。
本当に、何もかもが変わらない。
「あぁ、そう言えばお前が持って来てくれた餌、福の奴がめちゃくちゃ喜んで食べてたぞ。どっちかと言えば小食な奴だと思ってたんだが…あんなにがっついてるのは初めて見たな」
「本当ですか? よかったです。また持って行きますね」
「あぁ、ぜひそうしてやってくれ」
____期間限定とはいえ、私達の関係が変化したこと以外は。