飛べない鳥に、口づけを。
少し会わないうちに、小沢さんの容態はどんどん悪くなっているらしい。
その事実が切ない。
出来ることなら、最後まで小沢さんの担当でいたかった。
だって、
「それでも小沢のばーさん、俺のことは嫌いみたいだな」
顔を歪めて矢沢さんは言う。
「小沢のばーさんは俺を見ていつも言う。
川口さんに来て欲しいって」
その言葉はすごく嬉しい。
だからこそ、余計に申し訳なく思う。
仕事に私情を持ち込んで、担当者を変えてしまったから。