飛べない鳥に、口づけを。







そして仕事後……

本当に戸崎柊は待っていた。

そして、戸崎柊と話せると知った矢沢さんは、ホイホイとついてきた。

矢沢さんは頭が軽い。

薬局長の仕事だって残っているのに。

だけど……あたしを気にしてくれたのかな、なんて思ってしまった。





「矢沢さん……ありがとうございます」



そう礼を言ったあたしを、



「はぁ!?俺は川口のために来たんじゃねぇよ」



やっぱり崖から蹴落とす。

少しでも気を許してはいけない。

矢沢さんはこんな人だ。

戸崎柊といい矢沢さんといい、イケメンで嫌な男に囲まれたものだ。

薬局近くのファミレスの席で、あたしは大きなため息をついていた。


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