飛べない鳥に、口づけを。





その瞬間、



「は?彼女?」



またまた怪訝な顔をする戸崎柊。

そんな戸崎柊をぽかーんと見る。

戸崎柊は樹君の彼女を知らないのかと思っていたが、これってまさか……





「確かに樹には彼女はいたけど、あいつが怪我した時に別れたって聞いてるが?」



「え……」




驚くあたしに、戸崎柊は続ける。




「あいつは酷い女だ。

樹が怪我して引退かもしれないって報道が出た瞬間、スッパリ樹を切りやがった。

おまけに、樹のばーさんの介護とかしたくねぇって」




そうなんだ……

そんなことがあったんだ。




「あいつは『カッコイイサッカー選手の樹』と結婚したかっただけなんだよ」



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