飛べない鳥に、口づけを。
「樹、調子はどうだ?」
練習を終えた俺に、柊が聞く。
ようやくサッカーを許可された俺は、もちろん柊とは別メニューだ。
足に負荷がかかる試合になんて出ることはまだ出来ない。
こうやって練習を始めても思う。
俺の足は変わってしまったということに。
ぎこちない音を立て、ズキッと痛む。
そして、『恐怖心』それが根付いてしまった。
また、靭帯を損傷したらどうしよう。
この、精神的にも肉体的にも辛い休養期間を過ごさないといけないのか。
ボールを蹴る度に足が震え、逃げ出したくなった。
試合では、走ったりボールを蹴ったりすることはもちろん、相手選手との接触もある。
転ぶことはもちろん、故障場所を蹴られる可能性もある。