飛べない鳥に、口づけを。
「……良くないね」
珍しく、柊に弱気な発言をしていた。
「復帰するのがすごく怖いんだ。
俺、このまま引退なのかな?」
柊は俺をじっと見る。
同情するような瞳ではなく、心から心配している瞳だった。
そんな柊を羨ましくも思う。
彼は今も第一線で活躍し、アスールを引っ張っているエースストライカーだ。
試合に出て爽快にシュートを決める柊を見て、俺も同じピッチに立ちたいと何回願っただろう。
活躍している仲間を見て、正直胸を痛めている。
仲間はあんなに輝いているのに、俺は何も出来ない。
手を伸ばせば届きそうなところにピッチがあるのに……
恐怖に怯え引退まで考える自分を、情けなく思う。