飛べない鳥に、口づけを。
そして、水曜日……
午後のトレーニングを終えた俺は、スタジアムの入り口に向かっていた。
今日は菜緒ちゃんの仕事が休みらしい。
そして、菜緒ちゃんが俺に会いに来てくれると柊が言っていた。
菜緒ちゃんのことを思うと胸が熱くなる。
それと同時に恐怖も襲ってくる。
菜緒ちゃんは俺のことをどう思っているのだろうか。
俺を見て顔を歪め、「樹君なんて嫌い」なんて言われたらどうしよう。
それこそ、俺は再起不能になってしまうだろう。
菜緒ちゃんに会ったという柊は、会話の内容までは教えてくれたかった。
ただ俺に、「当たって砕けろ」と言った。
それってやっぱり……
嫌な予感がしてならなかった。