飛べない鳥に、口づけを。
8. キスしていいよ
ー菜緒sideー
夕陽が樹君を真っ赤に染めていた。
アスールの青いトレーニングウェアさえ赤く赤く染まっている。
樹君はあたしに駆け寄り……手を差し伸べる。
その腕の中に飛び込んでいた。
ぎゅっと抱きしめられた樹君の身体は、予想以上に筋肉質で硬くて、そして樹君の香りがした。
心臓がドキドキとうるさい。
止まってしまいそう。
身体を震わせて、涙を流して、そして樹君の身体を堪能する。
好きだ……
やっぱり、樹君が大好きだ。