飛べない鳥に、口づけを。
「俺に言わせて?」
樹君の声で顔を上げる。
至近距離で樹君と視線がぶつかり、顔がさらに真っ赤になる。
樹君に支えられていないと倒れてしまいそうだ。
そして、あたしを見る樹君の頰も紅く染まっている。
それは夕陽に照らされているからかもしれない。
それとも……
「菜緒ちゃん」
低く柔らかい声が、甘く鼓膜を揺さぶる。
その綺麗な顔に、甘い瞳に見惚れているあたしに……樹君は信じられないことを言った。
「俺は、菜緒ちゃんが好きなんだ」
「……え?」
「もう、菜緒ちゃんから離れたくないんだよ」