飛べない鳥に、口づけを。





何も言えないあたしは、ぽかーんと樹君を見上げている。

そして……

少しずつその言葉の意味を理解して……

鼓動が狂ったように速くなった。





「すっ……好き?」




あたしは、その言葉を反芻する。

そんなあたしを見て、



「好き」



樹君は切なげな笑顔を浮かべる。

まるで泣いてしまいそうなその顔を見て、あたしも顔を歪めていた。


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