飛べない鳥に、口づけを。
太陽が燦々と照りつける昼……
あたしは、とある古びたマンションの一室を訪れていた。
「小沢さん、こんにちは。
お薬を持ってきました」
暗い室内にも夏の熱気が立ち込め、それが扉を開けたあたしに襲いかかった。
「……小沢さん?」
返事がない。
「小沢さん、いらっしゃいますか?
……上がりますね」
そう断って靴を脱ぎ、少しだけカビの臭いがするマンションに足を踏み入れた。
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