飛べない鳥に、口づけを。
「ねぇ、菜緒ちゃん?」
不意にあたしを呼んだ樹君を見上げると、その優しい瞳と視線がぶつかった。
例外なくときめくあたしに、樹君は告げる。
「もし俺が勝ったら……
キスしてくれる?」
「…っ……えッ!?」
真っ赤な顔で、口をパクパクさせていた。
キス……
キスってあれだよね?
キスだよね!?
「菜緒ちゃんとキス出来るって思ったら、俺はすごく頑張れるよ?」
「……もうっ!樹君のばか」
そんなことを言いながらも、鼓動は速く胸が熱い。
まだキスなんてしていないのに、想像しただけで鼻血を出して倒れてしまいそう。