飛べない鳥に、口づけを。
「樹君、遅くなってごめんね」
特に遅れていないが、謝ってしまう。
そんなあたしに、
「ううん、今来たところ」
樹君は笑顔で言う。
そんな樹君、肩からエコバッグなんてかけていて、思わず凝視していると、
「せっかく菜緒ちゃんがうちに来てくれるんだからさ、夕食でもご馳走しようかと思って」
さらりと凄いことを言ってのける。
夕食を……ご馳走!?
それって、樹君の手料理ってこと!?
もう嬉しくて嬉しくて、ひっくり返りそうだ。