飛べない鳥に、口づけを。

そんなあたしに、樹さんは言葉を続ける。




「凄いですね、こんなに人の役に立てる仕事なんて……」



「……え？」




思わず樹さんを見る。

樹さんはやっぱりにこにこしていたが、どこか切なげだった。





そういえば、昨日も今日も樹さんは小沢さんの家に来ている。

ということは、仕事をしていないのだろうか。

こんなにしっかりした人なのに、まさかのプー？

……いや、足を怪我しているからだよね？






頭の中で必死に考える。

そして、考えた末の言葉を、樹さんに告げていた。




「樹さんもきっと、人の役に立っています」




樹さんは何も言わず、口元を緩める。

その笑顔に胸をぐいぐい揺さぶられる。

だけど、ここで負けてはいけない。

樹さんはすごい人だって伝えるんだから！