飛べない鳥に、口づけを。
あたしは真っ赤な顔で、言葉を続ける。
「今は足を怪我されていますが、きっと良くなって会社復帰も出来ます!
それに……多少足を怪我していても、仕事なんて大丈夫だと思います!」
「ありがとうございます」
樹さんの笑顔がまたまた胸を揺さぶる。
「川口さんのおかげで、俺も元気になれそうです」
その言葉が嬉しくて、あたしは一礼して、満面の笑みで小沢さんのマンションを去った。
この時は知らなかった。
樹さんの怪我が、どれだけ深刻なものかを。
そして、樹さんの仕事がどんなものかを。
だからあたしは、知らず知らずのうちに、無神経なことを言っていたのだ。
最低だ、好きな人を傷つけるなんて。