飛べない鳥に、口づけを。

いつになく強い気分になっていたあたしに、



「そうだ、菜緒ちゃん」



樹君が話しかける。

不意打ちに発せられた「菜緒ちゃん」に、またまた飛び上がりそうになる。

なおも真っ赤な顔で身体を震わせるあたしに、樹君は信じられないことを告げた。




「今週末、アスールの試合があるんだ。

もし良かったら、一緒に観に行かない？」





……えっ!?



えぇぇぇぇーッ!?





大声すら上げられず、あたしは口をパクパクさせて樹君を見ている。




まさか……

まさかそれって……ーーーー