飛べない鳥に、口づけを。





だが……




「鈴木様」




名前を呼ぶと、イケメン男性があたしのほうへと歩み寄る。

あたしはまばゆいばかりのイケメン男性を見つめ、薬の説明を始めた。




「抗生物質は、三日分飲みきってください。

この錠剤は眠気が出るかもしれません」




そんなあたしに、イケメン男性は言う。




「トラックの運転手をしているので、眠くなる薬は飲めませーん」




なにが「飲めませーん」だ、馬鹿にして。

やっぱり、イケメンなんて嫌いだ。

だが、努めて笑顔で対応する。




「では先生に確認して、もう少し眠気の少ない薬に変えてもらいましょう」


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