飛べない鳥に、口づけを。






樹君をもっと知りたい。

そう思うあたしは、最後のアイテムに手をかける。

それは、一枚のDVDだった。




いくら鈍感なあたしとはいえ、このDVDが何なのか想像がつく。

DVDを持つ手が震えた。

このDVDを見るのが怖い。

だって……きっと、樹君はかっこいいから。

すごく遠いところへ行ってしまうから。

だけど、現実から目を逸らしてはいけないと思い、震える手で再生ボタンを押した。


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