飛べない鳥に、口づけを。
矢沢さんの言うことはもっともだが、元はと言えば矢沢さんが蒔いた種。
「くっ……口は悪いけど、矢沢さんはあたしを応援しているんでしょ?」
そう聞くと、
「ふざけんな、川口」
心底嫌そうな顔で睨みつけられた。
そして、
「おい、今のうちにこの処方箋の一包化しておけ。
もたもたすんじゃねぇよ」
なんて仕事を押し付けられた。
仕方なく本を置き、錠剤を集める。
そしてそれを処方箋通りに撒く。
薬を並べている間にも、気を許すと樹君のことばかり考えていた。
サッカーをする樹君、すごくかっこ良かったな。
時折見せるあの笑顔がたまらなかった。
もっとサッカーをする樹君が見たい。
かっこいい樹君を見たいんだ。