チェックメイト
「小林は?俺じゃ不満?」

「そ、そんな訳ありません!!!私はずっと…っ!」

つい勢いで口にしてしまったけど、途端に恥ずかしくなって引き込んでしまった。

でもそれを先輩が許す筈ない。

「ずっと、何?」

そんなまっすぐな目で見ないで欲しい、私はいつもその目からは逃げられないんだから。

「ずっと…意識してたんです。先輩が次期社長って知って…途端に遠い人のように感じて…寂しくて…私、やっと自分の気持ちに気付いて。」

悔しい、そんな思いがふとわいてきて私は先輩を睨んだ。

「先輩が…男の人なんだって、今日イヤでも気付かされてっ!」

「ふっ。今日やっとか。」

「笑うとこですか!?」

「そりゃ笑うだろ。小林にとって俺は特別な存在なんだって知ってたからさ。」

「え?」

「お前、自分の気持ちにも鈍いんだな。」

「え!?」

私が自分の気持ちに気付く前に先輩が気付いてたってこと?

何て察しがいいのだろう、でも少し自惚れが入ってる気もする。

「で、小林。早く言ってくれない?」

「何をですか?」

「俺を好きだって。でないと俺は触らせてもらえないんだろう?」

先輩はこれ見よがしに両手を広げて待ちの姿勢をとった。

「俺としたくないの?」

直球で告げられた言葉に顔が真っ赤になる。

確かに好きな人以外とはしたくないと言ったけど、何の拷問なの。
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