この世界の何処かに(仮
~崩壊~
「じゃあね〜。また明日」
授業が終わり、友菜に挨拶して家へ帰る。
部活をやっていない私は、学校が終われば家でギターを弾いたり音楽を聴きながらゴロゴロしたりしている。
そんな毎日を繰り返していた。
始業式から1ヶ月程たちいつもの様に家へ帰る。
「ただい..」
言いかけたところで私は固まった。
「何なのよこれは!黙ってないでどう言うことかちゃんと説明してよ!」
酷く荒げてるお母さんの声。
「お前こそ、何勝手に人のケータイ見てんだよ!別に何だっていいだろ!もうお前に話す事は何もない!」
怒鳴るお父さんの声も聞こえる。
え、なに。何が起きてるの?
玄関で立ち尽くしたまま、頭はいつもなら絶対にあり得ないぐらいのスピードで働く。
しばらく沈黙が続いた後、
「..はぁ..。それじゃあ..離婚しましょう。」
不意に冷静になったお母さんの声が耳に入る。
え、離婚?何、離婚って。
そう考えるのとほぼ同時に私の体が勝手に動いた。
ー ガチャ。
「ねぇ、2人とも!何の話してるの? 離婚って聞こえたけど嘘だよね?冗談でしょ?」
扉を開けて焦る口が勝手に言葉を並べていく。
「だって、ほら。お母さんもお父さんも仲よかったし、それに私たち家族でしょ?だからー」
私が話してるのを遮る様に
「咲!あんたは黙ってなさい!」
お母さんが怒鳴った。
急に目頭が熱くなっていく。
「私はお父さんともお母さんとも一緒にいたいのに、私の気持ちは考えてくれないんだね。もういいよ!お母さんもお父さんも嫌い!」
私は2人に言い放った。
「咲!ちゃんと話がまとまったら説明するから、少しだけ待って欲しいの...」
お母さんの悲しそうな声を背中で聞きながら急いで二階の部屋へ上がっていく。
お父さんはただその様子を眺めているだけだった。