暗闇の中の少女
私と速斗が返事をする間も与えず弥生を追いかけて屋上を去った



一瞬の出来事だった。



「なんだったんだろうな」



『あは、は』



「…麗美、寒くなってきたし、帰るか」



『うん』



立ち上がってスカートについた砂埃を払う



屋上を出ようと一歩踏み出すと掴まれた手



速斗が私の手に自分の手を絡める



……恋人繋ぎってやつ



自覚した途端かぁーと熱くなる頬



ここが暗くて良かった



こんな顔見られたら恥ずかしいもん



「行こっか。」



屋上を出て人一人いない静まり返った廊下を歩く



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