暗闇の中の少女
今度はピシッと速斗が固まった



数分動かなかった速斗が私よりも強い力で抱きしめる



「…ホントに俺でいいのか…?」



『速斗じゃなきゃ嫌だよ』



「……っ。そっか……っ」



私の肩を濡らしている速斗



私はそんな速斗の頭を撫でた



「…麗美、手だして」



『…?うん』



右手を出すとこっちじゃないって左手を掴み手を広げさせた速斗



どこから持ってきたのか箱を取り出して開けて私の左手の薬指にはめた



それを見た瞬間涙が溢れた



『…ありがとぅ』



「…婚約指輪だ」



はめられた指輪をずっと見ていてふと思う



『いつ用意したの…?』



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