迷子になった恋心
「じゃあ、他の人とシた?」

「するわけないだろう」

即座に否定する諒太に笑ってしまった。

「うん、するわけないよね。わかってるよ」

「うん、圭織もしてないだろ。オレもわかってる」

お互いに別に浮気をしたわけじゃない。

「…わからなくなった、って言うかさ…」

「うん、見失っちゃった感じ、でしょ?」

「そうそう、その感じ。圭織もだろ?」

「うん。おんなじ気持ち」

そう。私達はお互いに嫌いになったわけでもない。

なのに私達は『別れ』を迎えることになったのだ。


学生時代はよかった。

大学に行き、講義を受け、ランチを共にし、また講義をうける。
その後はバイトに行ったり友達と遊んだり、デートをしたり。
私達は同じ世界にいた。

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