迷子になった恋心
「ふふっ、言うと思った」

「…やっぱり?」

笑いながら一歩一歩近づく私達。

金曜日だけれどまだ終電まで時間がある中途半端な時間のせいか、公園にいる人は少ない。

諒太の両手が私の肩に置かれる。

私は顎を少しあげ、諒太の顔を見上げる。

諒太の顔がゆっくりと近づくのに合わせるように私も首の角度を傾け目を閉じる。

重なる唇。

それはまるで初めての時のキスのようで。

ぎこちなく触れるだけのキス。

5年もの付き合いの中で、もっと激しいキスもした。もっと舌を絡めあういやらしいキスもした。

だけど、永遠に離れたくない、と思いながらした初めてのキスが一番頭に浮かんだ。

長く触れあうだけのキス。

永遠に続けばいいと願ったキス。


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