曖昧ストラテジー【短編】
彼女のターン
ああ、やってしまった。


7時限目、古典の時間。


相も変わらず文系教科が苦手な俺は、いつの間にか古典の存在を忘れていたらしい。


リュックの中を探すけれど、教科書もノートもない。


高校生になって、初めての忘れ物。


はぁ、とため息をついて、リュックを置いたとき。


「飯島、教科書忘れたの?」


左側から、江口が声をかけてきた。


一番バレたくない人にバレてしまった。


「………ノートも」


「あらら」


ああ、かっこ悪いな。


ずん、と落ち込む。
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