曖昧ストラテジー【短編】
君のターン
ああ、やってしまった。


手元で山になったカップケーキの行く末が見えなくて、途方にくれる。


ちょっと、調子に乗って作りすぎた。


3時限目の家庭科がおわり、休み時間。


体育、家庭科、技術の3つからの選択制で、私は家庭科、飯島は体育。


飯島を見れないのは寂しいけど、きっと、体育をしてる姿もかっこいいんだろうな、とか、考えたり。


「それにしても、どうしようかな」


小さく呟いた時。


「なんか、甘い匂いする」


隣の席の飯島が、帰ってきた。


体育の後だっていうのに、汗ひとつかいていない。


「授業でカップケーキ作ったんだ」


あげる人はいないけど、とりあえずラッピングしたカップケーキを見せる。


「へえ、美味しそう」


少し微笑んでそう言って、飯島は席に着いた。
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