見えない距離と儚げな横顔
「はぁ…。」
佐東さんが溜息をつく。
「どうかしましたか?」
「いや?ただ悠香ちゃんってほんと可愛いよなぁって思って。」
「そんなことないですよー。」
「そんなことあるから困るんだよなぁwほんと彼氏いなかったらすぐにでも告るのになぁ。」
まじか…。
でもなぁ…。

実は私は今の彼と付き合う前、佐東さんに少し片思いしてたんだ。
彼に告られたから彼と付き合ったけど。
実際彼とはそんなに会えてないし、付き合ってる実感すらない。
「実はね。私、今の彼と付き合うまえは佐東さん狙ってたんですよー。」
「まじか。それは驚き。」
「ほんと今の彼とあんまり上手くいってないし…。乗り換えたいくらいですよw」
そうなんだ…。と佐東さんが考え込む。
「じゃあさー、もし僕が告ったらオッケーするの?」
え?
…どうだろ。
今の彼のことは確かに好きだけど、それがライクかラブかは分からなくなってる。
「分からないですけど、今の彼と上手く行かなそうならオッケーしますよ。」
「そっか。じゃあ、僕待つよ。」
「待つって?」
「悠香ちゃんが今の彼氏くんと上手く行かなそうなら言って。僕と付き合おう。」
…佐東さんと付き合う…か。
「どのくらい待ってくれるんですか?」
「そうだなぁ…そんなに長くは僕も待てないし…」
佐東さんが考え込む。
「一年くらいかな。」
…一年も!?
「長くないですか!?」
「一年くらいなら待てるよ。」
「じゃあ待っててください。
私、考えます。」
「じゃあ、僕が一年待つ。
その間に僕が悠香ちゃんのこと好きなままでいて、悠香ちゃんが今の彼氏くんと続かなそうだったら僕のところにおいで。」
「わかりました!なるだけ早く返事しますねっ!」
「うん、待ってるからね。」
そうして私達は眠りについた。
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