【短】親愛なる片想いに口づけを
『なんで僕だったんだよ、協力者』
『きらるんが一番最初に目に飛び込んで来たから』
そりゃ、一番最初に目に飛び込んでくるよ。
きらるんしか見てなかったんだもん。
「告るつもりはねぇんだな」
「片想いでいいの。今の距離のままでいい。片想いのままなら、笑顔のまま一緒にいられる」
振られるかもしれないリスクを負うくらいなら、気持ちを伝えることなんてしなくていい。
笑いあえなくなってしまうことの方が怖い。
転校までに残された時間を、めいいっぱい君の隣で過ごしたい。
……あんなに怖いものなかったのになぁ。
君を好きになってからだよ。
自分が臆病だと知ったのは。
そして、それが恋というものだと知ったのは。
だからごめんね、きらるん。
君の大好物のチョコレートパフェを奢る日は、来ないんだ。
──片想いは、君の隣にいるための手段だった。